昨日8月21日、通訳案内士(中国語)の試験を受けてきました。
そのレポートをしたいと思います。
(その後10月5日、二次の口述試験の対策を始めました。記事はこちらから)
まず、概要
通訳案内士とは:通訳案内士法の規定により、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営もうとする者は、通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。
-
筆記試験平成28年8月21日(日)
-
筆記試験合格発表平成28年11月10日(木)(予定)
-
口述試験平成28年12月4日(日)
-
合格発表平成29年2月3日(金)(予定)
昨日は、筆記試験を受けたのですが、その結果が11月10日に出て、通過すれば12月の面接試験に進めます。
今年からHSK6級をもっていれば、中国語の筆記試験は免除されることになりました。
この中国語試験がかなり難関なので、HSKで免除になるとは、かなりの朗報です!
しかし、ほかにも日本地理、日本歴史、一般常識の3科目の試験があります。
試験時間は各40分、マークシートです。
会場の雰囲気
東京会場はいくつかあるのですが、わたしは江古田駅にある武蔵大学で受けました。
大学に着いたあと、教室の振り分け表を確認します。
やっぱり英語受験の人が圧倒的に多いです。中国語も一応2番目に受験者はいるのですが…とにかく、英語受験者数が圧倒的です。
この中国語の通訳案内士は中国人で取得される方も多いです。会場でも、中国語が飛び交っていました。
比較的大きな教室で受験しました。机も椅子もトイレも新しい校舎です。
ここには、前方に時計もありました。
私は午前中の中国語試験免除なので、お昼頃に向かいました。
一部試験のみの受験の人も多いようで、午後も、科目によっては人が少なかったりしました。
3科目あるのですが、40分間の試験のあと、毎回30分間の休憩があるスケジュールです。
少し休憩が長くてめんどうくさいです。
では、中国語以外の各科目ごとに、今年の出題内容と、
来年度に向けてのおすすめ対策を紹介します。
日本地理
試験用紙を見て、大きなショックを受けたのですが、
私が対策していた日本地理と試験の内容が少し違っていました。
実は去年2015年から、試験の内容が変わったようなのです。
私は、『三訂版 徹底攻略 国家試験 通訳ガイド(中国語)』 中国語学院 (著)一ツ橋書店刊
を買って、問題集を解いたり、模擬試験をやって勉強していたのですが、
これは2013年に出された本で、もちろん新しい試験に全く対応していませんでした。
インターネットなどで最新の傾向を調べておかなかったことを悔みました。
具体的には、これまで(2014年度まで)は地図の等高線を読み取ったり、日本の気候についてなど、
中高で勉強した「地理」科目に近い内容が多かったですが、
(2015年度からの)新しい試験内容では、地図を読み取ったりの問題は消え、具体的に日本の地域をいくつか取り上げ、そこにある観光地名や名物を問われる問題が大部分を占めていました。
つまり、いわゆる中高で勉強した「地理」科目の問題を取り上げていた試験内容から、より観光に重点がおかれた実践的なものになったともいえます。
通訳案内士としては、現在の試験内容のほうが役に立つのかもしれませんが、
とにかく、これまでの試験対策本で対策しても得点はあまり望めません。
新しい試験内容の対策として、
とりあえず全国の世界遺産、国立公園、国定公園、(特別)天然記念物は、きちんと把握することが大事です。
名前だけでなく、地図上の位置も。
今回取り上げられた地域は、問題ごとに北海道、仙台、栃木、昇龍道(愛知県、岐阜県、富山県、石川県を通る観光ルート)、伊勢半島、京都、島根、四国、九州と、
まんべんなく、幅広く出題されました。
特に、伊勢志摩などはサミットがあったからだと思います。その年に注目を集めた地域を見ておくのは必須ですね。
また、これは「日本地理」ではなく「一般常識」のテストで出たのですが、
最新の世界遺産登録である「明治日本の産業革命遺産」の位置の出題もありました。
最新のものは必ず把握しておく必要があります。
そのあと、それぞれの地域の観光地について、地図やパンフレットやガイド本で見ておいたらいいのではと思います。
特に、今回は「広域観光周遊ルート」に設定されている地域からの出題が、かなりありました。
「広域観光周遊ルート」とは観光庁が進めている事業なのですが、
「外国人旅行者の地方への誘客を図るため、複数の広域観光周遊ルートを認定し、関係省庁の施策を集中投入するとともに、地域が推進する取組をパッケージで支援し、海外に強力に発信する」ためのものです。
詳しくは下記リンクをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/kouikikankou.html
現在7地域が設定されているのですが、なんと、そのなかから4地域が取り上げられました。
少し偏っている印象ですよね。この資料を先に読んでいたひとにとっては、
今回の地理は簡単だったのでしょう。
ちなみに、私は読んでませんでしたが…><
来年度もこの「広域観光周遊ルート」が出るかどうかはわかりませんが、この内容は通訳案内士の仕事に深いかかわりがあるため、今回取り上げられなかった地域がまた出題される可能性はあります。
日本歴史
日本歴史は、試験内容の変化があまり大きくありませんでした。
これまで通りの通訳案内士の試験対策本でしっかり対策すれば大丈夫かと思います。
ただ、冒頭には10問ほど寺社や建築物の写真を見て、その名前などを答えさせる問題が出てきます。特に寺社は、写真などでその外観を確認しながら覚える必要があります。
また、以前はあまり奈良時代以前は出ないという傾向があったようなのですが、
今回はしっかりと古墳時代の埴輪の問題も出てきました。
古代史もきちんとやっておく必要があります。
以前からの傾向ではありますが、外国とのかかわりのなかでの日本史のほうが、問われる可能性が高いです。
今年度もたとえば、元寇、出島、支倉常長など出題されました。
出題傾向が大幅に変わり、対策が難しい「日本地理」「一般常識」と比べると、
「日本歴史」は勉強すれば点がとりやすいです。
その分、平均点も上がるため、公式発表されている合格基準点の70点はとりたいところです。
一般常識(産業・経済・政治および文化に関する一般常識)
今年の一般常識については、問題解説を載せましたので、そちらも見ていただければと思います。
まずは、従来通りの試験内容ともいえる「政治」分野からは、
今回も衆議院や参議院議員選挙や憲法改正の手続きなどが出されました。
ここは基本なので、必ずおさえておきたいです。
過去問の範囲から大きく変わってないので、過去問をしっかりみておけば大丈夫でしょう。
問題は、それ以外です。
問われる内容が本当に多岐にわたっており、対策が難しい科目だと思います。
まず新しい試験内容になってから、「日本地理」と「一般常識」の範囲がかなりかぶってきています。一般常識に、「地理」要素がかなり入ってきているのです。
たとえば、さくらの名所に関する問題や近代化産業遺産群について問われました。
ここは、日本地理の対策をしっかりやっておいてカバーするしかありません。
経済産業省が認定した近代化産業遺産など、
国が新たに設定した観光地はできるだけすべてチェックしておきたいところです。
あとは、通訳案内士として確かに知っておくべき、
外国人が日本を旅行する際に必要な実際的知識もいくつか問われました。
免税店やJAPAN RAIL PASSについてです。
免税範囲など引き続き出題される可能性がありますので、このへんは知っておく必要があります。
また、近年マレーシアなどイスラム教を信仰する国からの旅行客が増えています。
そこで、イスラム教に関する問題も2問ありました。イスラム教について、基本的な用語はおさえておきましょう。
あとは、「産業」、「経済」に関しては、
国などが発表する最新の統計からの出題ばかりです。
特に観光白書からは毎年必ず問われているので、絶対におさえましょう。
そのほか、外国への輸出、輸入に関する統計からも出題がありました。
日本は今、ビジットジャパンキャンペーンとしていろいろな取り組みを毎年やっています。
その新しい取り組みはかならず把握しましょう。
例えば、今回もそのなかから「外国人観光案内所」について問われました。
具体的には、観光庁のホームページ(http://www.mlit.go.jp/kankocho/)や、
日本政府観光局(JNTO)のホームページ(http://www.jnto.go.jp/jpn/)は入念にチェックしておくことをおすすめします。
合格基準点
合格基準点は、一応公表では、日本地理、日本歴史が70点、
一般常識が60点とされています。
昨年度より、日本地理、日本歴史の合格基準点が引き上げられ60点から70点になりました。
しかし、特に昨年度(2015年度)は、試験内容の変更があったこともあり、
平均点があまり良くなかったようです。
合否は受験者の得点分布を見て、偏差値で決定されるため、
結局、昨年度の合格基準点は70点よりもだいぶ低く設定されたようです。
2ちゃんねるなどを見る限り、
日本地理、一般常識は40点代後半のようでした。
今年は、試験内容の変更がなされて2年目ですが、
まだ内容の変更にばっちり対応できている受験者は少なそうですし、
一般常識の範囲があまりにも多岐にわたるため、
今年も特に、一般常識の合格基準点は、60点よりも下げられる可能性があると思っています。
11月10日ころに、また今年の合格基準点も少しずつ明らかになるかと思いますので、
またレポートしたいと思います。